国分グループ:SDGs戦略策定プロジェクト[2019年9月~2020年3月]

1712年、江戸・日本橋本町で創業した日本を代表する食品卸の国分グループ。スーパー、コンビニ、百貨店、ドラッグストア、酒販店、給食・外食産業など、食品を卸す得意先は約35,000社、食品を仕入れる取引メーカーは約10,000社にのぼる、日本の食品流通を支える企業です。

創業から300年以上にわたり、関東大震災や第二次世界大戦などの歴史的危機を乗り越えながら、国分グループは常に社会と向き合い、変革を起こしながら今日まで事業を継続し、拡大してきました。そんな国分グループがこれからの100年を見据え、持続可能な社会の実現にどう向き合うべきか、そのためにどのような事業を興していくべきなのか。SHIPでは2019年から約6ヶ月にわたり、同社の「SDGs戦略策定プロジェクト」の推進を支援しました。

 

国分グループ「SDGs戦略策定プロジェクト」の流れ

 

SDGs戦略策定プロジェクトでは、グループ本社のサステナビリティ推進課だけでなく、経営計画にSDGsを反映するとともに、現場での事業に直結させるために、経営企画、営業、物流部門からのメンバーを含む、計8名からなるコアチームが結成されました。

 

「SDGs戦略策定プロジェクト」コアチームメンバーの皆さん

 

また、このプロジェクトは、同社のイノベーション活動の一環でもあり、JINが策定に携わった「ISO56002:イノベーション・マネジメントシステム」のフレームワークに沿って実施しました。

 

ISO56002のフレームワーク

 

そのため、まずは国分グループをとりまく環境など「組織の状況」を明らかにし、ステークホルダーや社会から求められる国分グループの役割を明確化しました。その上で、SDGsの169のターゲットまでを細かく分析し、「SDGsと国分グループのビジネスの関係」を整理し、どのターゲットの達成に国分グループは貢献すべきかを明確にしました。

さらに、国分グループの強みや現在どのような「価値」をステークホルダーに提供しているか、これからどのような価値を提供していきたいか、また、これからの100年を見据え、どのような企業グループになりたいのかなど国分グループの「意図」、そして「ありたい姿」を明確にした上で、SDGs戦略の策定が進められました。

また、戦略策定後に国分グループが「ありたい姿」を具体的に実現することをめざして、実際にどのような事業機会があり(機会の特定)、それをどう実現していくか、ビジネスモデルの構築(コンセプトの創造)を進めました。

コアチームメンバーとしてプロジェクトに参加されたサステナビリティ推進課グループ長の平賀織江さんは「この検討プロセスを通じて、改めて『国分グループ』は世の中でどのような存在意義があるのか、どうあるべきか、またどのような価値提供の可能性があるのかということを議論し、考えることができました。この議論の過程では、いわゆる『不平不満』と受け取られがちな意見に対しても否定せず、課題を解決することで価値を生み出すチャンスととらえ、真剣に話し合うということを徹底して行いました。議論が逸れずに進められたのは、最初に行った169ターゲットの分析で深めることができたSDGsの理解が大きく寄与していると感じています。

これらの自由な議論が、次世代へつなぐ未来を描き、国分グループとしての大きな目標設定につながりました」と語ります。

国分グループのSDGs戦略については、「300年間紡いだ商いを、次世代に繋げていく。私たちは食を通じて世界の人々の幸せと笑顔を創造します。」というステートメントと、6つの重要事項にまとめられ、2020年9月に会長・社長自らのメッセージとして社内外に発表されるとともに、第11次長期経営計画にも反映されました。

【国分グループ本社HP】

サステナビリティ:https://www.kokubu.co.jp/sustainability/

第11次長期経営計画:https://www.kokubu.co.jp/company/quality/

【國分晃社長インタビュー】https://ji-network.org/case3

その後、SDGs戦略の内容に加えて、事業機会の特定と事業コンセプト創造の手法が、サステナビリティ推進課から現場のグループ企業社員に伝えられ、現在、各社において、ありたい姿の実現に向けた活動が進められています。

現在の活動状況について、コアチームメンバーだったサステナビリティ推進課長の古賀秀之さんは「プロジェクト後半で策定した6つのマテリアリティとその達成目標および行動基本方針、絞り込んだ30のSDGsターゲットに基づき、新たに人事部門、ヘルスケア部門などを加えた12名のプロジェクトチームで18の具体的なKPIを設定しました。それを再度ISO56002のフレームワークに基づき、事業化を検討、2021年から始まる第11次長期経営計画の策定メンバーと共有し、SDGsを経営に統合させました。

それから1年が経過しましたが、グループ内で自主的に様々なプロジェクトやワーキンググループなどが立ち上がり、コアメンバーであった私自身も考えつかなかったようなイノベーションによる環境・社会の課題解決と事業化を伴った取り組みが各所で起こっています。

JINにご指導いただいたとおり、SDGsの目標を経営へ統合させることは大変重要で、経営計画の実行イコールSDGsの目標達成となり、SDGsへのアプローチが非常にわかりやすくなったと感じています」と語っています。

国分グループのプロジェクトで実施した、イノベーションマネジメントのプロセスに則った、SDGsを起点としたビジネスモデルの創造はSHIPが培ってきたノウハウです。多くの日本企業において、このような活動が進められ、日本企業の技術とノウハウがSDGs達成にさらに活かされるよう、SHIPは引き続き活動を進めていきます。

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