[パプアニューギニア] 農村部における電力へのアクセス

2017年9月21日に投稿された課題

投稿者:SHIP Secretariat

所属:SHIP

場所:地域:アジア・太洋州諸国 国:パプアニューギニア 市町村:農村部(特にハイランド地方)

関連SDGs

課題・ニーズ

パプアニューギニアでは首都の住人を含む一部の人々しか電力の恩恵を得られていない。世界銀行の統計によると人口約76百万人の同国における電化率は僅か13%、地方に限ると僅か6%である。大洋州島嶼国の約75%の人口を有し、液化天然ガス等の資源国であり経済成長の著しい大洋州の大国パプアニューギニアであるが、域内他国と比べて電力化の遅れが非常に目立つ。同国は世界で二番目に大きいニューギニア島を初めとする600の島から成り立ち、同島の大半は世界で三番目に大きい熱帯雨林が生い茂り、また山岳地帯も有するために、首都と地方を結ぶ主要道路の大半が未発達。よって、国内移動はほぼ全て飛行機移動となり、同様に電力・ガス・水道といった基礎インフラ発展の遅れが著しい。中でも特に山岳地帯であるハイランド地方の電化率が僅か数%と非常に低い。
そのため、住人は地方でも入手可能な灯油、蝋燭、懐中電灯を利用しており、中でも灯油利用率が高い(45%)。しかし灯油価格は輸送費等を含むため非常に高く、また健康被害も大きい。人々は家計の6割を灯油に費やしているという調査結果もあり、それによって教育・医療といった必要出費が圧迫されている。照明及び調理に使用するため、国民1人当たり年500キログラム相当の油量が必要という調査結果がある。
同国の送電事業は国営の電力会社が10MW以下の送電に関して排他的権利を有しているため、現時点で国営の電力会社以外の介入はみられない。コミュニティにおける小規模な水力発電(小規模送電)や各家庭における太陽光発電および太陽光電灯については、導入が始まったところである。

課題に関する考察・その他

同国には地熱及び水力、太陽光発電(平均日照時間2,000時間/年)の可能性が十分あるものの、殆ど利用されていない。大規模な発電送電事業はライセンスの問題、投資規模、及びインフラ未発達の状況からPPPの形を限いて民間企業の介入は難しい。政府は2030年までに電化率70%を目指しており、再生可能エネルギー普及の政策も打ち出している。同政策の下、太陽光発電製品は輸入関税0、財・サービス税率の優遇措置を定めている。こうした状況を受け、各社による太陽光発電製品の普及事業が各家庭またはコミュニティにおいて始まりつつある。携帯電話普及が急速に進む同国(現在50%)において、電化製品の充電もできるハイブリッド商品に対する需要が高いという調査結果も存在する。現在流通している太陽光発電製品の多くは中国製であり、耐久年数等質の高い日本製品に対する需要は十分に見込めると思料する。参考までに中国製品の販売価格は約25千円(3つの電球、携帯電話充電口、USB差し込み口、ラジオ、ソーラーパネル、バッテリー付)。

出典

Seeding Social Enterprise in Papua New Guinea/UNDP

関連サイト

参考資料