[カナダ] 北極圏の空気中に舞うマイクロプラスチック

2019年11月29日に投稿された課題

投稿者:SHIP Secretariat

所属:SHIP

場所:地域:北米 国:カナダ 市町村:

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課題・ニーズ

北極圏の環境測定をする調査団によると、人手が加えられていない最後の環境とされる北極圏ですら空気中にマイクロプラスチックが舞っている可能性があるという。ドイツとスイスの調査チームが行ったこの研究は、学術誌「サイエンス・アドバンシス」で発表された。

調査チームはノルウェー領スヴァールバル諸島で、デザートスプーンとフラスコというありふれた手法で北極圏の雪を集めた。その後、ドイツのアルフレート・ウェゲナー研究所で混入物を数えたところ、予想以上の数を見つけた。

混入物は非常に小さかったため、出所を特定することは難しいという。混入物の大半は植物繊維や動物の毛といった自然由来のものだったが、プラスチックやゴム、ニス、塗料などの欠片や、合成繊維とみられるものも見つかった。研究を主導したメラニー・バーグマン博士はBBCニュースの取材で、「ある程度の汚染は予想していたが、これほどのマイクロプラスチックが見つかったのはショックだった。このプラスチック片の大半が、雪と共に空中からやってきたことは明らかだ」と語った。

研究では、マイクロプラスチックが風で巻き上げられ、大気中を長距離飛んで北極圏まで運ばれたとみているが、その仕組みの全容はわかっていない。その後、空気中の欠片は降雨や降雪によって大気から「洗い流される」という。

4月にイギリスとフランスの共同チームが発表した研究によると、ピレネー山脈のフランス側でもマイクロプラスチックが雪と一緒に降っていることが明らかになっている。これまでにも中国広東省東莞市やイランのテヘラン、パリなどで、雨や雪からプラスチックが発見されている。いずれも、プラスチックがどこからやってきたかは不透明なままだ。

北極圏という最果ての地の雪にすらマイクロプラスチック片が混入している事実は、地球にとって危機的状況をあらわしている。研究チームの一人の博士は、「こんなに多くのプラスチック包装が必要なのでしょうか。塗料にポリマーを入れる必要があるのでしょうか。車のタイヤを別の素材、形にできないのか。こういった重要な問題を問う必要がある」と話している。

課題に関する考察・その他

出典

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49353653

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