[インドネシア] 都市封鎖で更に脆弱化するインフォーマルセクター労働者

2020年4月20日に投稿された課題

投稿者:SHIP Secretariat

所属:SHIP

場所:地域:アジア・太洋州諸国 国:インドネシア 市町村:ジャカルタ等

関連SDGs

課題・ニーズ

世界を席巻する新型コロナウィルス感染拡大問題。アジアの途上国でも、都市封鎖などの措置が取られ、感染拡大を最小限に抑えるための対策を講じている。中でもインドネシアは4月17日時点で感染者5923人、死者は520人となり、死者数では以前から域内最大だったが感染者数でもフィリピンを抜き、ASEAN加盟10カ国で最も多い国となってしまった。

同国財務相は「新型コロナウイルスの影響でこれまでに約120万人が失業する事態となり、今後失業者が520万人に上る可能性がある」として、失業者、困窮者への救済策を強化する姿勢を明らかにしている。

ただ、一方、こうした経済政策の恩恵を「受けにくい」業種がある。それは、インドネシアを含む東南アジア諸国の就労者の多くが携わるいわゆる「インフォーマルセクター」である。

「インフォーマルセクター」とは、開発途上国に多く見られる就業形態を指し、例えば、露店、行商、白タク、日雇い労働者など、公式に記録されない職種のことを云う。そうした部門の経済活動は管理規制ができず、その国の経済活動の実態把握を難しくしているともいわれている。

そんなインフォーマルセクターの経済活動は、逆に言えば都市における「フォーマル」な経済活動が順調であることを前提に成立している。そして、都市封鎖によってフォーマルな経済活動が絶たれた今、そうした膨大なインフォーマルセクターの労働者等は休業手当などのセーフティネットがあるわけでもない。また、当然ながらテレワークができるような仕事でもないのだ。

また、こうした労働者は、別の収入源を見つける必要があり、自宅にじっとしているわけにはいかない。つまり、何とか別の方法で日々の生活費を稼ぐまたは食料を入手する必要があり、そのため外出制限を守ることができないのだ。これはつまり、その人がウィルス感染するリスクを意味し、その地域社会、そして国全体にとっての更なるリスクを意味するのだ。

上記の財務省の発表では失業者は520万人に上るということだったが、実際、このインフォーマルセクターを合わせた同国の完全失業者は最大で約1600万人に上るという試算もある。

社会から隔絶され、セーフティネットの恩恵を受けられないインフォーマルセクター労働者の生活を守るための、また、そのような彼らの生活が保障され、安心して社会的距離を取り感染拡大のリスクを最小限に抑えられるような施策が、今、求められている。

課題に関する考察・その他

出典

https://www.thejakartapost.com/news/2020/04/14/millions-to-lose-jobs-fall-into-poverty-as-indonesia-braces-for-recession.html

関連サイト

参考資料