[バハマ] COVID-19問題で危機に立つカリブ海諸国の観光業

COVID-19の猛威は今もなお衰えず、その影響によって世界の各地で先の見えない戦いが続いています。人々の各国間の移動はほぼ停止状態となり、観光分野の経済には特に大きな影響が出ています。

北カリブに浮かぶバハマ。そのGDPの約70%を観光産業が占める、典型的な観光立国の一つです。

フロリダ半島から100㎞余りという至近さで隣国アメリカの観光客からの人気も高く、ソーシャルメディアで話題になった「豚が泳ぐビーチ(ピッグビーチ)」を始めとする美しい浜辺等、世界中の憧れのリゾート地の一つといえるでしょう。人口35万人のこの小さな島国に、年間600万人以上もの人々が訪れていたことで、その人気の高さが分かります。

しかし、今年初めから世界に感染が広がったCOVID-19の影響により、バハマ政府は2月より、出入国制限を開始。それを皮切りに、状況は一転しました。
外貨獲得の手段を封じられたカリブ諸国は、軒並み国債の格下げとなり、さらには食糧や燃料の輸入、債務支払など、当面の財政危機にも晒されています。

ホテル、クルーズ船、港湾、ツアーガイド、外食や小売業等、観光に関わる全ての産業が現在、休業や廃業を余儀なくされ、そこに携わっていた人々もまた失業に追いやられています。

首都ナッソーにある総工費1000億円のカジノリゾート「アトランティス・パラダイス・アイランド」は、バハマにとっての重要な観光拠点の一つでしたが、今年3月から閉鎖されたまま、未だに再開の目処は立っていません。

もともと医療資源が限られるバハマのような小島嶼国は、日頃の取り組みに加えて、外国からのウィルス侵入を防ぐための水際対策の整備が重要です。先進国のようにあらゆる危機に迅速に対応することができないため、海外からの観光客を、安心して迎え入れられる体制が整うまでは、観光立国として再開の目処は立てられないのです。

 

COVID-19による負の連鎖から一刻も早く抜け出し、まずは、経済活動を始めるための基本的な体制を整えること。

そのための施策が今、求められています。

[ジャマイカ] 自然災害と隣り合わせの都市と貧しい集落

カリブ海の北に位置するジャマイカ。中世の探検家をもって「今まで見てきた中で最も美しい島」と言わせしめた、美しくのどかな自然の風景のみならず、レゲエ音楽といった独特の音楽や、世界大会で活躍する陸上競技選手が注目を集めるなど、様々な魅力で世界の人々を惹きつけています。

しかし、そんなジャマイカの歴史は、常に自然の猛威による災害と隣り合わせの歴史でもあります。

毎年のように見舞われるハリケーンに加え、カリブの海賊たちの聖地「ポート・ロイヤル」など歴史遺産を一夜にして壊滅させた大地震。雨季に起きる頻繁な洪水は、停電や渋滞で都市機能を阻み、沿岸や河口で暮らす貧しい集落を不衛生な環境に追いやります。

英米への出稼ぎによる仕送りやビーチリゾートの観光収入に支えられた経済は、ひとたび自然災害に遭うとたちまち人々の生活を揺るがし、救えるはずの市井の営みや産業が、取り返しがつかない程の大打撃を受けることになるのです。

“ハリケーン”の語源は、ジャマイカ先住民のアラワク語であるということからも、この国が何世紀もの間この自然の驚異にさらされながら歴史を歩んできたことが伺えます。

自らの命を守り、町を守り、国を守る一人ひとりの努力を支援するような、新しい仕組みや技術が求められています。