[インドネシア] 農家の高齢化と若者離れ

インドネシアの農業人口は、1980年代には全体の55%だったが、1990年代には45%、そして2012年には41%と低下を続けている。人口数で見ると2003年~2013年の10年間で500万人減少し、経済発展に伴って都心部での仕事の機会が増えたことによる若年層の農業離れが要因の一つと言われている。

また、2013年にインドネシア政府が実施した農業調査によると、同国の農業従事者の60.8%が45歳以上で、74.0%の最終学歴が初等教育にとどまっている。農家が新しい技術に触れる機会が少なく、この状況が続けば高齢化の進行と生産性の低下につながると警鐘を鳴らした。そして、民間団体が2016年に実施した調査によると、インドネシアの米農家の50%、園芸農家の73%が自分の子供には跡を継がせたくないと回答した。農家の子供へ行った調査でも、米農家の子供の63%、園芸農家の子供の54%が農業に魅力を感じないと答えた。現在の農家の教育や生産性の向上と合わせて、次世代の農家育成に取り組む必要がある。

[ナイジェリア] プラスチックごみによる環境問題

アメリカのジョージア大学の研究チームは、1950年以降に世界で製造されたプラスチック製品の総量は83億トンにも上り、そのうち63億トンが廃棄されたという推計を発表した。そして、リサイクルされずに、ただ捨てられるペットボトルや梱包材は年々増加しており、2050年には、プラスチックごみは120億トンに倍増するとみられている。また、毎年800万トンものプラスチックごみが海に捨てられている。特に、サブサハラアフリカ地域の新興国では状況が深刻である。例えば、ナイジェリアのラゴスの町は廃棄物で埋め付くされている。廃棄物収集のビジネスをしている起業家によると、現地では産業廃棄物を処理する施設への初期投資や、人材配置、インフラはもちろんノウハウも欠けている状況だと言う。

[イエメン] 紛争に巻き込まれた子どもの栄養失調と安全な場所の確保

中東の最貧国イエメンでは、2015月3月に激化した紛争により、4万人以上の死傷者が出ており、現在も220万人の子どもが重度の栄養失調で苦しみ、10分に一人の子どもたちが亡くなっています。2015年の1年間では、世界の紛争で最も多くの人々が住みかを追われた紛争となりました。イエメンは、その激しさと複雑さより「世界で最も活動することが困難な国」(WFP)とも言われており、また、世界の人々にその惨状が知られる機会は依然として限られています。

このような中、約18万人が難民となり、内約3.6万人が対岸のアフリカのジブチに逃れました。ジブチにある「マルカジキャンプ」では、子どもたちが紛争で傷ついた心を癒す機会もなく、また、大人の不満や不安が充満するキャンプ内で、子どもたちは、安全に遊ぶことができない状況にあります。

[ケニア] 灌漑システムの不足

ケニアは540万ヘクタールの耕地を所有していますが、この土地のわずか17%が雨季農業に適しており、残りの土地には灌漑やポンプ技術が必要です。現在耕地の3%が灌漑され、ガソリン、電気、および手動のポンプが市販されていますが、高い投入コストや労働の非効率によって十分な解決策となっていません。

また、雨季に頼る事により年2回の収穫しか行えず、農家は所有している土地を活用しきれずにいます。

[ネパール] 水不足と水質汚染

ネパールのカトマンズでは、ヒマラヤ山脈の雪解け水が豊富にあるにも関わらず、慢性的な水不足と水質汚染に悩まされている。ネパール中央統計局データによると、5世帯に1世帯が水インフラが家に届いていない状態に置かれており、全体の 2/3世帯が十分な水の供給を得られていないという。その原因は、政治的な混乱や煩雑な利水計画、周辺農村から首都カトマンズへの大規模な人口流入等、様々な問題が複雑に絡み合っている。結果、社会的、経済的に弱い立場の人々にとって、清潔な水の入手が困難な状況が生まれている。 水質汚染も深刻で、河川敷での火葬、廃棄物や下水が河川へ投棄されるため、衛生的ではない。

水不足を解消するために、タンクで水を運んだり、地下水をくみ上げるビジネスも行われているが、それらの水には有害金属物質が含まていることも多く、本当に安全かどうかも危惧されている。

[世界全体] 大量の食品ロス

食品ロスは世界全体にまたがる大きな課題。生産された農水産物の大きな部分が食べられることなく、捨てられている。現在の世界全体の食品ロスの25%分の食料があれば、世界中から全ての飢餓がなくなる計算。食品ロスがなくなれば、生産者から家庭までの食料バリューチェーンにおける経済的ロスが削減されるとともに、CO2排出量も削減される。

農水産物が収穫された後、市場に届く前に起こるの食品ロスは、開発途上国、先進国を問わず、主に、適切な倉庫や物流システムがないために発生しているが、とくに低所得国においては深刻な状況。国連食糧農業機構(FAO)によると、開発途上国で生産された食糧のうち30-40%は市場に届く前に無駄になっている。

市場や家庭に届いた後も、食品が腐ったり、捨てられたりしている状況は深刻。先進国においては、食品ロスの多くは物流の過程や、店舗・家庭で発生している。物流の過程で発生する食品ロスの多くは、消費者の好みや過剰な規制が原因。欧米における1人あたりの食品ロスの量は、南米や東南アジアの約10倍。

[ベトナム] 配送サービスの安全性に対する不安

Eコマースの普及により配送サービスの需要が年々増加しており、ベトナムでは道が狭いため、バイクによる配送が主流。しかし、盗難を懸念し、オンライン・ショッピングで高額な買い物を避けている人も多い。また、軽トラックによる配送に関しては物流システムをまとめる主要な企業が現時点ではおらず、配送に使われる軽トラックの93%は個人所有であり、且つ別の本業を持っている人も多いため配送の価格や質が統一されていない。その為、特に小規模事業者が配送依頼の都度ドライバーと交渉を強いられている。

しかし、ベトナムの主要メディアであるVietnamNetによると2020年にはベトナムのオンライン・ショッピング市場規模は100億ドルになると予想されており、増加する需要に伴って配送システムの構築が必須。また、今は化粧品や消費財が主に購入されているが、今後食品等の衛生面が重要な商品の需要も増えてくると予想される。

[インド] 水産業を育てるためのネットワーク不足

インドでは、水資源へのアクセスはあるものの、汚染されていたり、資金不足であったりして、清潔な水へのアクセスは限られている。特に、パートナシップが欠如しているために、専門家がその土地にあったソリューション提供するための必要な資金調達の機会を得られていない。 連邦政府は、この事態を何とかするため、国策の最優先事項として多くのプロジェクトを立ち上げた。その結果、影響力のある投資家やグローバル企業の間で市場参入の関心が高まっている。

しかし未だ、必要設備の調達やプロジェクト資金、規制や法的枠組み、地元ネットワークの欠如といったリスクが懸念されるために、水分野の社会的インパクト投資や融資は取るに足らない額である。(社会的インパクト投資全体金額6.5億ドルのわずか 3-8%) 水分野の地元企業はいくつか存在するものの、そちらもビジネスを拡張するための技術的財政的能力が欠けていることが課題となっている。