2022.02.07 SHIPニュースレター[Vol.25] 世界で深刻化する「栄養不良の二重負荷」~東京栄養サミット2021:求められる民間企業のコミットメント~

SHIPニュースレターVol.25をお届けします。【SDGs x ビジネス最新情報】では、昨年末に日本政府主催で開催された「東京栄養サミット2021」について取り上げています。【From UNDP】では、明日オンラインで開催する「人間の安全保障特別報告書2022 グローバル発表会」をご案内しています。ぜひご覧下さい。

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【SDGs x ビジネス最新情報】世界で深刻化する「栄養不良の二重負荷」~東京栄養サミット2021:求められる民間企業のコミットメント~
【From UNDP】人間の安全保障特別報告書2022 グローバル発表会:2月8日(水)22:00開催
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【SDGs ×ビジネス最新情報】世界で深刻化する「栄養不良の二重負荷」~東京栄養サミット2021:求められる民間企業のコミットメント~
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栄養改善の取り組みは人々の健康の増進、社会経済の発展、そして持続可能な開発を可能にする基盤です。成長を妨げる「低栄養」と、生活習慣病を誘発する「過栄養」(過体重や肥満)が混在して同時に進行する「栄養不良の二重負荷」の問題は、先進国・途上国を問わず深刻化しています。さらに新型コロナウイルスの拡大による労働機会と家計収入の減少などが原因で、世界的に子どもの栄養不良が悪化しています。

そのようななか、昨年12月7、8日に日本政府主催のもと「東京栄養サミット (Nutrition for Growth Summit) 2021」が開催されました。2013年の初回以降、世界の栄養問題を議論する場として3回目となるこのサミットでは、SDGs達成に向け「健康」「食」「強靭性」「説明責任」「財源確保」の5つの分野で議論が交わされました。サミットの成果として、各国政府、国際機関、民間企業、市民団体を含む、215のステークホルダーが合意した「東京栄養宣言(グローバルな成長のための栄養に関する東京コンパクト)」が発表されました。

そして、サミットに参加した60社中26社の民間企業を含む181のステークホルダーから、具体的な栄養改善のための396の政策・資金的な行動表明(コミットメント)が発表されました。さらに、その実現のために、約270億ドル(約3兆千億円)の資金拠出が官民から表明されました。

今回のサミットでは、日本の農林水産省が、2つ目のテーマである「食」に関して、健康的で持続可能な食料システムを日本企業が積極的に構築していくことを目指す「東京栄養宣言の実施に向けた日本の食関係者の具体的行動計画」を発表しました。これは日本独自の技術で途上国の栄養問題改善に取り組んできた官民連携の枠組み「栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP)」と連携してまとめられたもので、この行動計画に、60以上に渡る企業・団体等が賛しました。

例えば、味の素株式会社はうま味によるおいしい減塩の実践や栄養プロファイリングシステム(ANPS)を活用した製品開発を進め、世界的なタンパク質不足に着目した株式会社エコロギーは、エコなたんぱく質源であるコオロギを有効活用した栄養改善食品の提供を進める計画です。エコロギー社は、カンボジアをはじめとする途上国の農家に生産を委託して、現地の人々の所得向上に貢献するとともに、2025年までに5万トンのフードロス回収に貢献することを表明しました。

他にも、株式会社ユカシカドは栄養改善キット「VitaNote」と実際の検査を通して個人の栄養の過不足を評価し、科学的根拠に基づいた食品等を提供することで、世界中で栄養改善に取り組むとしています。2030年までには栄養検査キットを1億人に提供し、途上国・新興国の⼦供1,000万⼈の栄養を改善することを計画しています。

今後重要となってくるのは「東京栄養宣言」を実現するための行動の実践とその評価です。今回のサミットで形成された栄養改善に向けた多くのステークホルダーの決意を維持しつつ、2年後のフランスでのサミットに向けて、民間セクターには、各社の経験と技術の活用を通じて、具体的な行動を加速することが期待されます。

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【From UNDP】人間の安全保障特別報告書2022 グローバル発表会:2月8日(水)22:00開催
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UNDPは、「人間の安全保障」に関する特別報告書「人間の安全保障に関する特別報告書〜人新世の時代における人間の安全保障への新たな脅威〜」グローバル発表会(英語)を2月8日22時00分 (日本時間)にオンラインで開催します。

当報告書では、新時代の地球規模課題を考慮した新たな「人間の安全保障」のあり方を提案します。本報告書のグローバル発表会では報告書の概要をご紹介するとともに、多様な視点から人間の安全保障に関するグローバルな対話を行う予定です。

当発表会には、アヒム・シュタイナーUNDP総裁、林芳正外務大臣、および同報告書ハイレベル諮問委員会共同議長を務めた元コスタリカ大統領ラウラ・チンチージャ氏と武見敬三参議院議員をはじめ、世界各国のトップレベルの意思決定者および開発の専門家が集います。

プログラムや登壇者の情報はUNDP駐日代表事務所のウェブサイトをご覧下さい。イベントは英語で開催し、フランス語・スペイン語の同時通訳がつきますが、日本語通訳はありませんのでご注意下さい。なお、録画版を後日公開予定です。

【日時】2022年2月8日(水)22:00~23:00(日本時間)  
【会場】オンライン形式(Zoom Webinar)

【使用言語】英語(スペイン語・フランス語同時通訳あり)※日本語通訳なし
【参加費】無料
【参加方法】事前登録が必要です。こちらのリンクよりご登録をお願いします。 
      ※お名前はアルファベットにてご記入下さい。

なお、本発表会とは別に、2月後半から3月初旬にかけて、日本国内の方々を対象とした日本語による報告書の発表会の開催も予定しています。UNDP駐日代表事務所のウェブサイトにて随時情報を更新しますので、ご確認下さい。