[ベトナム]廃棄物処理、プラスチックごみの収集・廃棄

ベトナムでは、急速な都市化に伴い、廃棄物の処理能力の低さが問題化しています。ベトナムの主要都市ではごみ処理場がすでに処理能力を超えていたり、処理場が深刻な汚染により閉鎖したりするなど、各地でごみ処理場が能力超過の危機に直面しています。

 

UNDP A-Labによれば、たとえばダナン市では、毎日900~1000tの生活ごみが排出されており、排出量は2025年には年間5,200万トンに増加すると予測されています。現在の処理能力は、質・量ともに廃棄物の増加量に追いつかず、埋め立て処分される廃棄物は全体の70%で、残りは焼却や不法投棄されています。また、収集率も都市部では85%以上ですが、農村部では40%~45%と格差があります。すでに受入能力を越えつつある埋め立て処分場では、約1700世帯の周辺住民が、悪臭が漂う環境での生活を余儀なくされ、住民が埋め立て処分場へ通じる道路を封鎖し、ごみ収集者の侵入を妨害するなど、ゴミ問題は住民と自治体の争いにも発展しています。また、不適切な廃棄物処理は、汚染物質の漏洩など、環境・健康上の問題を引き起こす懸念があります。

 

そこでダナン市では、廃棄物処理能力の改善に向けて廃棄物処理のシステムデザインと導入を検討しています。日本企業の技術で特に期待が寄せられているのは、プラスチックごみの削減に係る3つの技術です。

 

  プラスチックの代替包装材料の導入

サプライチェーン上流における対策として、プラスチックに替わる包装材を導入する事で、廃棄物とプラスチックの更なる蓄積を防ぐ効果が期待されています。 

 

  衛星や探査機による廃棄物の測定

サプライチェーン下流での対策では、衛星やドローンの画像などの新しいデータソースやテクノロジーを使用した廃棄物測定のソリューションが特に必要とされています。日本企業の技術導入によって、こうした新しいテクノロジーを使用した革新的な廃棄物の管理方法を確立する事が期待されています。

 

  E-waste(電気電子機器廃棄物)の処理能力向上

最後に、電子廃棄物に対するソリューションです。電子機器のバッテリー電子廃棄物の収集と管理は、通常の廃棄物とは異なる処理技術を必要とし、正しい処理が行われない場合有害なものとなります。現在のベトナムのシステムでは、迅速に電子廃棄物を管理・処理するための設備が整っていないため、電子廃棄物の処理に関する技術導入も喫緊の問題となっています。

ベトナムの廃棄物処理に関する課題解決において、日本企業独自の技術が貢献できる可能性があります。

 

2021.2.3 SHIPニュースレター [Vol.23] 持続可能な経営を実現する「SDGsネイティブ」の声

SHIPニュースレターVol.23をお届けします。【SDGs x ビジネス最新情報】では、近年活発になっている、次世代を作る若者「SDGsネイティブ」の意見を経営に取り入れる動きを取り上げています。2/5(金)開催のUNDPのオンラインイベントもご案内していますので、ぜひご覧ください。

 

■ CONTENTS ■===================================

【SDGs x ビジネス最新情報】

持続可能な経営を実現する「SDGsネイティブ」の声

【From UNDP】

2/5(金) オンラインイベント「新しいフロンティアへ:人間開発と人新世」開催

【From SHIP Partner】

未来技術推進協会主催「未来技術推進検定 SDGs編」 申込み受付中

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【SDGs ×ビジネス最新情報】

持続可能な経営を実現する「SDGsネイティブ」の声

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「SDGsネイティブ」という言葉をご存じでしょうか?1980年代以降生まれで、環境問題や社会課題に強い関心を持ち、その解決に積極的に貢献したいと考える世代を指します。SDGsの達成をめざす公共セクターや、民間企業が彼らの意見を積極的に取り入れる必要性に気づきはじめ、「SDGsネイティブ」という言葉が頻繁に登場するようになりました。

 

UNDPでも、SDGs達成に向けて「SDGsネイティブ」の力を積極的に活かそうと、彼らとの連携を積極的に進めており、持続可能な社会をデザインするイベント「SDGs x Youth」を開催したり、アジア太平洋各国の若手起業家を支援する「Youth Co:Lab(ユース・コーラボ)」というプログラムを実施したりしてきました。日本でも、国内外の社会課題を解決しようと企業やNPOを立ち上げた、マザーハウスの山口絵里子さん、クロスフィールズの小沼大地さんなど、「SDGsネイティブ」の活躍の様子は皆さんご存じのとおりです。

 

そして近年、「SDGsネイティブ」の声を積極的に経営に取り入れる動きも拡大しています。先週、オンラインで開催された「ダボス・アジェンダ」。この会議を主催する「世界経済フォーラム」は、「Global Shapers Community」という、約150か国の30歳未満の若手オピニオンリーダー10,000人から成るネットワークを形成し、彼らが世界の舞台で発言する機会を与えるとともに、444の都市にハブを形成し、彼ら自身がそれぞれの地域の課題を抽出してそれを解決するプロジェクトを実施しています(ちなみに、日本からは過去にメディア・アーティストの落合陽一さんなどが選出され、東京、横浜、京都、大阪、福岡、沖縄にハブが形成されています)。ダボス会議に合わせて開催されるGlobal Shapersの年次会合には、世界を代表する経営者との議論も行い、最後に発表される提言(2020年会合の“6つのメッセージ”)は、今後の社会や経営に重要となる多くの気づきを世界のリーダーに与えています。

 

さらに日本でも、積極的に「SDGsネイティブ」の声を経営に活かす企業が出てきています。ソーシャルスタートアップの草分けであるユーグレナは、2019年に「Chief Future Officer(最高未来責任者)」という役職を設置。18歳以下の応募者の中から任期1年間で任命されるCFOは、同じく18歳以下のFutureサミットメンバーと共に、同社のサステナビリティに関するアクションや達成目標策定などに携わります。初代CFOの小澤杏子さん(選出当時17歳)は、「2021年中に自社商品に使用される石油由来プラスチック量の50%削減に挑戦する」という、同社の野心的な経営判断をリードしました。

 

消費活動においても、地球環境の未来に不安を感じ、サステナブルな行動が当たり前となっている「SDGsネイティブ」の感性は、近い将来、消費者の行動基準になっていきます。平成生まれの筆者の周囲でも、フェアトレードやオーガニックの選択に限らず、環境負荷が高い製品やブラック企業と呼ばれる企業のサービスを利用しないといった心掛けが浸透しつつあると感じます。2020年に実施された消費者庁の「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査でも、「エシカルな食料品を購入している」と回答した10~20代の割合は11.0%、30代は11.5%で、40代の5.4%や50・60代の6.1%を大きく上回っており、衣料品やその他生活用品でも同じ傾向が見られます。

 

「SDGsネイティブ」の能力と声を経営の中枢に取り入れることは、今や不可欠であり、持続可能な経営の実現に向けた確かな道だと言えます。

 

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【From UNDP】

2/5(金)オンラインイベント「新しいフロンティアへ:人間開発と人新世」開催

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UNDPは先月、「人間開発報告書」の30周年記念版として「新しいフロンティアへ:人間開発と人新世」を発表しました。タイトルにある「人新世」は、人類が初めて地球の生態系や気候などに大きな影響を与えるようになった、つまりヒト中心の時代という新たな地質学的時代を指します。

 

この報告書の発表会を2/5(金)午後8:00〜9:00にオンラインで開催します。この発表会では、ペドロ・コンセイソン人間開発報告室長が、報告書の重要メッセージや、新たに導入した指標「プラネタリー圧力調整済み人間開発指数」(Planetary-Pressures Adjusted HDI/各国の二酸化炭素排出量など地球への負荷を考慮した人間開発指数)の意義、必要な変革などについてご説明します。

 

また、国際協力機構(JICA)企画部国際援助協調企画室長の室谷龍太郎氏をお迎えし、人間開発と持続可能性、人間の安全保障の関わりについても対話します。ぜひご参加ください。

 

⇒お申込みはこちら (2/5(金)午後8:00〜9:00オンライン開催)

※2/4(木)午後3:00までにお申込みください。

 

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【From SHIP Partner】

未来技術推進協会主催「未来技術推進検定 SDGs編」 申込み受付中

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SHIPのナレッジパートナーである一般社団法人未来技術推進協会が実施する「未来技術推進検定 SDGs編」(SHIP監修)が2020年より始まっています。SDGs17の目標をその背景とともに理解し、自分とのつながりの理解度を確認できる検定です。ぜひお申込みください。

 

[受験申込み締切] 2/12(金)

[受験期間] 2/1(月)~3/1日(月)(オンライン)

[概要] 試験時間:60分、問題数:46問

[受験料] 3,300円(税込)

⇒お申込み・お問合せ先はこちら(一般社団法人未来技術推進協会)