[マラウイ]急速な都市化により悪化した都市衛生
マラウイは、近年急速に都市化が進むアフリカ大陸南部に位置する人口約1800万人の内陸国です。国内で最も大きな都市の人口規模で100万人規模ではあるものの、都市化率は4.19%と高く、廃棄物の処理に関する問題が浮き彫りになりつつあります。国内の廃棄物排出量は、年間30万トンにも及ぶのに対し、収集率は12%と極めて低い水準で、特に首都リロングウェや主要都市のブランタイアでは、多様化するごみの収集能力、輸送管理、粗悪なコンポストのキャパシティ不足。それによる悪臭等の感覚環境問題など、様々な課題が表面化しつつあります。
たとえば街で散見されるのは、ごみの散乱と投棄。特に路地や空き地などの公共サービスの行き届いていない区域では、投棄環境問題だけではなく治安の悪化にもつながっています。また、アフリカにおける主要な廃棄物である有機ゴミは、ハエなどの害虫を引き寄せる事が多く、害虫の糞口感染によって胃腸炎やコレラなどの病気が蔓延するリスクを高めています。プラスチックゴミについても、ゴミに溜まった水は蚊を繁殖させ、デング熱や黄熱病を広げる結果となっています。現在サブサハラでは、70%を超えるゴミがオープンダンプサイトに投棄されており、害虫・害獣の問題を発生させているだけでなく、温室効果ガスがコントロールされないままに放出されているために気候変動の原因にもなっています。
加えて、生ごみなどの有機物以外の、処理の難しいゴミに対する能力不足も廃棄物問題を深刻化させます。経済成長に伴い、プラスチックや電気電子製品、タイヤなどの処理に特殊な技術を要する廃棄物も増えつつあります。これらを適切に処理する技術や法制度が整っていない地域では、作業者に健康被害が出るケースや、環境汚染を引き起こすケースが多く見られます。
早急な対策が必要とされる廃棄物処理に対し、現地UNDP A-Labは、都市部の廃棄物収集・処理事業の能力向上や、プラスチックごみの再利用などのスケールアウトの検証を行うべきだと分析しています。先に記載した様に、アフリカは経済成長が目覚ましい注目の大陸です。マラウイ政府は新しいテクノロジーやスタートアップに対しても寛大であり、国内にビジネスとして取り入れることを前向きな姿勢で望んでいます。その一方で、マラウイはアジアやアフリカの大国と比較すると、内陸国家であることもあり海外のノウハウが届きにくく海外からの企業の参入が未だ少ない国です。その為、いち早くビジネスを立ち上げることでファーストムーバーとして経営を確立できるチャンスがある国でもあります。小国家ならではの新しいテクノロジー導入の際のデータ収集のしやすさや、新事業に前向きなマラウイの文化は、日本企業にとっても新しいビジネスの導入検討に際したサンプリングができるなど様々なメリットが期待できます。