2019.4.19 SHIPニュースレター [Vol.13] サーキュラー・エコノミーとSDGsビジネス

新年度が始まってから3週間、元号改定も近づいており、新しい時代の幕開けを感じますが、皆様のSDGsビジネス推進においても、新たな展開を計画されているでしょうか。
さて、SHIPニュースレター[Vol.13] をお届けします。話題の「サーキュラー・エコノミー」とSDGsビジネスの関係、4~5月の「SDGsビジネスプログラム【導入編】」のご案内など、ぜひご覧下さい。
 
■ CONTENTS ■ =============================
【SDGs X ビジネス最新情報】
 「サーキュラー・エコノミー」で考えるSDGsビジネス  
【SHIPプログラムご案内】
 4/25(木)& 5/22(水)開催!SDGsビジネスプログラム【導入編】
【From UNDP】
 企業の取りSDGs達成に向けた取り組みを後押しする「SDGインパクト」
【From JIN】
 「SDGsビジネスプログラム【導入編】in 北九州」を実施しました! 
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【SDGs X ビジネス最新情報】
 「サーキュラー・エコノミー」で考えるSDGsビジネス
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最近、耳にすることが多くなった「サーキュラー・エコノミー」。日本語では「循環経済」と訳され、「リサイクル」や「リユース」と紐づけられることが多いですが、実はかなり広い概念です。
 
「サーキュラー・エコノミー」は資源の循環を通じた経済のあり方であり、省資源の製品開発、購入、使用、リサイクルや再利用・再生産、シェアリング等のすべての経済活動を通じて「資源循環の実現」をめざすという概念です。
 
この概念に世界で多くの企業が賛同し、具体的なアクションを起こし始めています。
 
今年1月のダボス会議では、P&G、コカ・コーラ社などの欧米の主要な消費財メーカーが結集し、リサイクルベンチャー企業が提供するオンラインプラットフォーム「LOOP」に参画し、繰り返し利用可能な容器を使った製品の販売・配達サービスに取り組むことを発表しました。この「LOOP」は今年中にパリとニューヨーク、そして2020年には日本でもサービスを開始する予定です。
 
また、サーキュラー・エコノミーの推進をリードする「エレン・マッカーサー
財団」のパートナーには、Google、ナイキ、ユニリーバ、ルノーなど、様々な企業が名を連ね、同財団がアパレル業界向けに展開する「メーク・ファッション・サーキュラー」キャンペーンにはバーバリー、GAP、H&Mなどのグローバルブランドが参画しています。
 
国や経済圏の単位では、EUがサーキュラー・エコノミーの実現に向けてEU共通の枠組みの確立を目的にした「サーキュラー・エコノミーパッケージ」を採択していますが、なかでもフィンランドは非常に熱心で、国全体で、世界初の完全なサーキュラー・エコノミーを実現するという目標を掲げており、今年6月の第3回世界循環経済フォーラムもフィンランドの首都ヘルシンキで開催される予定です。
 
アクセンチュアが2015年に発表したレポートによれば、「サーキュラー・エコノミーへの移行により世界が得られる経済効果は2030年までに4.5兆ドルに上る」とされています。
 
最近ニュースで盛んに取り上げられている廃プラスティックなどの問題も、単にゴミや環境破壊の課題だと見るのではなく、資材調達から始まり、製造、販売、消費、その後のリサイクルやレンタルによるシェアリングなど、大きな循環システムに乗せるという「シェアリング・エコノミー」の視点を持てば、そこに様々な企業の知恵や技術を用いて、ビジネス創出する無数のチャンスが存在するのではないでしょうか。
 
SHIPとしてもSDGsビジネスモデル構築の際に重視すべき概念として、サーキュラー・エコノミーに注目していきたいと思います。
 
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【SHIPプログラムご案内】
    4/25(木)& 5/22(水)開催!SDGsビジネスプログラム【導入編】
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SDGsが掲げる17のゴールを俯瞰的に理解し、様々な業界の参加者と議論しながら、SDGsとビジネスの接点を探る「SDGsビジネスプログラム【導入編】」。夕方からの2時間で、SDGsとビジネスの関係を理解し、ネットワークが拡がると毎回好評を得ています。まだご参加頂いていない方は、ぜひご検討下さい。
 
[日時] 4月25日(木)19:00-21:00(+ネットワーキング30分間程度)
   5月22日(水)19:00-21:00(+ネットワーキング30分間程度)
   ※各回、同じ内容です
 
[会場] 以下のいずれか(1週間程前にお申込み者にご連絡します)
 Japan Innovation Network(千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテルタワー)
 31VENTURES Clip ニホンバシ(中央区日本橋本町3-3-3 Clipニホンバシビル)
 
[アジェンダ]
1.インプットセッション(40分間)
 SDGsの17ゴールとターゲット/SDGs達成に向けたUNDPの民間連携策
 /イノベーションとは?イノベーションを興すプロセス/SDGsはなぜ
 イノベーションの機会か?
2.ワークショップ(80分間)
 SDGsを俯瞰的に捉え、ビジネスとの接点を探る
3.ネットワーキング(30分間) ※飲み物と軽食を囲んで
 
[参加費] 4,000円+税
 
[申込方法] 
 以下のサイトより参加費をお支払い(クレジットカード、もしくは、コン
 ビニ払い)の上、お申込み下さい 。>> http://ship.peatix.com 
 
 ※現金でのお支払いを希望される場合は、「プログラム名、開催日、
  会社・組織名、ご所属・肩書、お名前、電話番号」を記載の上、
  SHIP事務局( ship@ji-network.org )にご連絡下さい。
 
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【From UNDP】
  企業の取りSDGs達成に向けた取り組みを後押しする「SDGインパクト」
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「日経ESG」4月号で、国連開発計画(UNDP)政策・プログラム支援局戦略政策ユニット長(取材当時)のペドロ・コンセイソンがインタビューを受け、UNDPが新たに立ち上げたプロジェクト「SDGインパクト」を紹介しました。
 
「SDGインパクト」は、①SDGs達成に資する企業の取り組みの基準を定め、認証する制度、②途上国のリスクと機会に関する情報提供、③課題解決に取り組む企業と投資家のマッチングを3本柱としています。いずれもまだ試験事業の段階ですが、UNDPはこのプロジェクトが、SDGs達成に向けて事業に取り組む企業の後押しとなり、民間資金の動員につながることを期待しています。
 
「SDGsにより、企業は政策や規制、消費者の変化を意識できるようになり、リスクを低減できる。また、SDGsは世界が向かう方向を見定め、ビジネスチャンスを予測する羅針盤になる」とコンセイソンは、取材で述べています。
 
SDGs達成に向けて、食品・農業、都市、エネルギー・原材料、健康・福祉の4分野で年間最大12兆ドルのビジネス価値がもたらされるとの研究結果もあります。
 
UNDPは「SDGインパクト」 を通じて、日本の企業や政府とSDGs達成の加速化に取り組んでいきたいと考えています。
 
「SDGインパクト」ホームページ >> SDG Impact
 
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【From JIN】
 「SDGsビジネスプログラム【導入編】in 北九州」を実施しました! 
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去る3月16日、北九州市にて「SDGsビジネスプログラム【導入編】in 北九州」を実施しました。北九州ESG協議会主催プログラムの一環として「SDGsをビジネスに取り入れる方法を考える」というテーマで、様々な分野から約30名もの方々にご参加をいただき、同市の強みは何かを考え、それを活かしたSDGsビジネスモデルを考えて頂きました。
 
北九州市は工業都市としての長い歴史から、環境問題等の社会課題の解決に対する企業や市民の問題意識が高く、市内だけでなく、海外の都市での環境に関する課題に積極的に解決に取り組んでいる自治体です。そんな北九州市を象徴するかのごとく、大変活気に満ちたセッションとなりました。当日の様子は、SHIPのホームぺージでぜひご覧ください!
 
SHIPでは、日本各地の強味を活かした、SDGsビジネスモデルを考えるプログラムを今後も各地で積極的に開催したいと考えていますので、ご興味のある方はぜひ、事務局までご連絡下さい。
 

[リベリア] 盗電の横行により更に遅れる電気インフラ整備

リベリアでは1989年から14年続いた内戦により、国内の発電・送電の設備が激しく破壊された。政府は、その後の経済発展をさらに押し進めるべく、現在電力供給インフラを修復し、新しい設備の敷設を進めようとしている。

政府は2030年までに首都モンロビアの70%以上の世帯に電気が普及することを目指しているものの、内戦での破壊や老朽化によって現在使われている配電設備は、損傷も激しく機能していないものも多い。そうした設備の刷新を早急に進めるためにも、十分な資本を得ることが急務となっているが、電気料金を徴収できない問題に直面し、資金調達が難しくなっている。

一番の原因は市民による違法な電力使用、つまり「盗電」の横行である。

メディアの調査によれば、リベリアで電力会社が送電する電気のおよそ60%が「違法に盗まれている」との見方もある。電気料金をまともに回収できない電力会社は、いくら電力を供給してもひたすら赤字となり、コストを回収することが出来ず、また設備刷新のための資金も得られない。送電設備の整備が進まず、ますます電力化が遅れる、という悪循環に陥っている。

電気代を正しく徴収できるようになること、盗電を助長しないことや防ぐこと、または安価な送電設備や供給のためのアイデアなど、様々な解決策が求められている。

2019.4.15 SHIPイベントレポート『SDGsビジネスプログラム【導入編】 in 北九州』を実施

去る3月16日、北九州市にて「SDGsビジネスプログラム【導入編】 in 北九州」を実施しました。このプログラムは北九州ESG協議会主催「北九州SDGsセミナー」シリーズの一環で、北九州市の強みを活かしたSDGsビジネスモデルを参加者の皆さんに体験頂きました。
北九州1
北九州市は、その工業都市としての歴史の長さから、環境問題、少子高齢化問題など工業都市ならではの社会課題に古くから問題意識を持ち、市内だけではなく海外の都市でも積極的にその解決に取り組んできた自治体です。その経験値や市民意識の高さにより第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞し、「SDGs未来都市」にも選ばれています。そんな北九州市を象徴するかのごとく、このプログラムでも産官学民の様々な分野から約30名が参加され、大変熱心にそして活気に満ちたセッションとなりました。
 
北九州2
SDGsとは17個のゴールだけが重要ではなく、その下位にある「ターゲット」と「指標」が重要です。プログラムでは、各ゴールは単体で成立するのではなく、互いに関係し影響しあっていることを改めて確認した後、各グループで、北九州市が持つ産業やビジネスの「強み」についてディスカッションしました。
北九州3
 
さらに、それぞれに割り当てられたゴールについて、自分たちがこれだと思う北九州の「強み」をどう活かしたりソリューションにするのかをグループで議論し、顧客は誰か、パートナーは誰かについて、具体的に構想しました。
 
北九州4
 
最後に、それぞれのグループで考えたビジネスモデルを書き出し、発表。
教育サービスや高齢者向けのサービスなど、様々な面白いビジネスモデルが生み出されました。
 
参加者からは「会社の強みをSDGsにどう関連付けていくかを考えるきっかけになった」「具体的なワークを通じて会社に取り入れるイメージがわいた」「様々な職種の方々の考えを聞き、それを前向きな姿勢で話し合うことで思っても見ないビジネスモデルにつながる可能性があることを大いに体感できた」などの感想を頂きました。
 
SDGsを俯瞰し、自分たちの住む都市の強みとSDGsをどう結びつけるかを考えることで、この北九州市のように、あなたの街や地域から「その街ならではの強み」を活かしたSDGsビジネス案を創出してみませんか。ご要望があれば、SHIPは全国でこのようなワークショップをご提供致します。ご興味ある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 
SHIP事務局:ship@ji-network.org