2021.4.15 UNDPのアヒム・シュタイナー総裁が「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」や日本企業との連携について語る【2021.4.15日経ESGオンライン記事】

UNDPのアヒム・シュタイナー総裁が『日経ESG』のインタビューに応え、自然に関するリスクと自然への依存や影響を開示する枠組みをつくる「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の非公式作業部会発足や、日本企業との連携について語りました。

「SDGs達成に向けて、UNDPが日本企業との連携で期待している分野があれば教えてください」との問いに対しては、「我々は多くの日本企業と共同で仕事をしてきました。例えば富士通は、UNDPと東北大学が設置した『災害統計グローバルセンター』で災害統計データ蓄積の基盤を整備し、複数の国での試行プロジェクトにも参加しています。UNDPと住友商事の現地法人トヨタイラクは、内戦で住居を追われたイラクの若者が職に就けるよう研修プログラムを提供しています。自動車整備、在庫管理、顧客サービスの研修を提供し、若者をトレーニングしました。人間の安全保障は日本が貢献できる分野です。一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)とUNDPは、企業の技術やノウハウを生かして課題解決を目指すオープンイノベーション・プラットフォーム『SHIP』を運営しています。SDGsの目標に関連付けてビジネスモデルをつくるワークショップや企業の経営戦略づくりを支援しています。SDGs達成に必要なのはイノベーションです。企業との様々な協働により、SDGsが目指す社会変革の道筋を見いだしたいと考えています」と答えました(日経ESG記事より抜粋)。

以下でインタビュー記事の全文をご覧になれます。
https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00004/040900011/

[トルコ]無計画な都市開発によるゴーストスペースの出現

中央アナトリア地方に位置するトルコの首都アンカラ。歴史的建造物に加え、オペラやバレエ、交響楽団など文化・芸術の拠点としても国際的に名高い巨大都市です、十分な計画のなされないまま行われてきた都市開発による、公共スペース等のゴースト化が近年問題になっています。

第二次世界大戦以降、トルコでは急激な人口増加に伴い都市化が進みました。アンカラでは、1955 年より計画の見直しがはじまり、現地政府や自治体・建築家がデザインを一手に担うトップダウン型の都市開発の潮流が確立されます。特に、1983年以降に域内が5つの市に分割されてから、自治体の意思決定権はさらに強固なものとなりました。加えて、近年の財政危機は公共事業の中断を招き、新しいインフラ開発プロジェクトは軒並み凍結。民間工事の70%が中断している状況が、街のゴーストスペース化に拍車をかけています。

トップダウン型のまちづくりと情勢不安が生み出したゴーストスペースは、多くの市民の利用目的に沿わず、景観や治安上の問題だけでなく、市民の無力感を増大させたり、地域に対する住民の知識や所属意識の欠如を招いたりする原因になると指摘されています。人通りの少ない場所は犯罪リスクが高まるため、ゴーストスペース化は街の治安維持や住人の幸福度、旅行客の動員などにも影響が出る問題です。このような現状から、トルコでは市民の生活の質の向上を目的とした、市民のニーズに寄り添ったまちづくりが急務となっています。

またトルコは自然災害も多く、近年のトルコ・ギリシャ沖地震は人命の損失だけでなく、大きな経済損失や財政不安ももたらしました。防災技術を備えた建築設計により、ゴーストスペースの解消に加え、人命や経済、自治体を守ることも必要です。