[スリランカ] 食生活の欧米化と栄養知識不足による生活習慣病の増大

「2019年のスリランカ国民にとっての最大の健康懸念はNCD(非感染症疾患)である」・・・当該国の英文報道メディアThe Morningはそう伝えた。

スリランカでは今、生活習慣病に代表される非感染性疾患(NCD, Non Communicable Diseases)の広がりが深刻な社会問題となっている。WHOの2018年の発表によると、スリランカにおける死亡原因のうち75%が心臓病などの循環器疾患、がん、慢性呼吸器疾患、糖尿病などのいわゆるNCDであるという。

NCDは食生活習慣を整えることなどで、ある程度予防が可能ではあるが、スリランカでは、幼少期の食生活において、良質なたんぱく質・カリウムなどのミネラルを含む野菜の摂取不足の傾向があり、また、大人も健康管理や食に関する知識にうとく、子供に栄養バランスの取れた食事を提供することの重要性が認識されていない、その領域に関する国民教育が行き届いていない等のことが、社会にとっての課題として指摘されている。

健康的な生活を送るための基本知識である食事や栄養バランスに関する知識の啓蒙や、国民の病気予防に関する知識を高めるための施策が求められている。

[ブラジル] 財政難による治安体制不全により脅かされる女性達の安全

貧困や人権問題に取り組むNGOアクションエイド(ActionAid)が2019年1月に発表した調査結果によると、14~21歳のブラジル人女性の53%は毎日何らかの「嫌がらせ」を受けることへの恐怖を抱えながら暮らしているという。同団体によれば、嫌がらせの恐怖を抱える若年女性の割合は、調査対象となったケニア24%、インド16%、英国14%の4カ国と比べてブラジルが圧倒的に高い。

ブラジルの大都市の中でも、特にリオデジャネイロの治安悪化は深刻さを増している。治安悪化の最大の要因は、州財政の悪化だ。五輪のための多額のインフラ投資により、基礎的財政収支は12年から赤字に転落。16年までの不況で企業からの税収も急減。予算不足により警察官への給料遅配が常態化し、治安を守るべき警官等はストライキで対抗。またパトカーなど治安維持のための重要な装備や備品の故障や欠品も続出し、公共の安全を守る体制が非常に不安定なものとなっている。

2019年5月のThe Rio Timesの記事によれば、ブラジル、リオデジャネイロでの女性に対する暴力犯罪は4573件。そしてそのうちの70%のケースで、被害者が17歳未満の少女達だったという。高まる社会不安が少女達という弱者への暴力に転嫁されているのだ。

犯罪を未然に防ぐための仕組み、非人間的な犯罪行為から少女や女性を守るための仕組み、そして、万が一被害にあってしまった女性たちに対して、温かい心身のケアや社会復帰支援を施すための仕組みが求められている。

2019.6.15 SHIPニュースレター [Vol.14] STI for SDGsとは?そして、民間セクターの役割

SHIPニュースレター[Vol.14] をお届けします。今回は、科学技術イノベーション(STI)とSDGsの関係について、6~7月のSDGsビジネスプログラム【導入編】とTICAD7関連のセミナーのご案内などをお送りします。ぜひご覧下さい。

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■ CONTENTS ■ ===========================================
【SDGs X ビジネス最新情報】
  STI for SDGsとは?そして、民間セクターの役割
【SHIPプログラムご案内】
    6/20(木)& 7/25(木)開催!SDGsビジネスプログラム【導入編】
【From UNDP】
  全国5都市にて開催中! 
    TICAD7 アフリカビジネス SDGsセミナーのご案内  
【From SHIP Knowledge Partner】
  ボンで開催された「SDG Global Festival of Action」で、
   未来技術推進協会の「SDGsボードゲーム」がお披露目
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 【SDGs X ビジネス最新情報】
   STI for SDGsとは?そして、民間セクターの役割
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STI for SDGsという言葉をご存じでしょうか? Science, Technology and Innovation for SDGs。日本語にすると「SDGs達成のための科学技術イノベーション」です。

SDGsは、様々なアクター(政府、民間セクター、NGO、一般市民など)が、様々な分野(環境、まちづくり、食糧など)でその達成をめざしていますが、「STI」はSDGs達成の手段として非常に重要で、大いに活用すべきだと位置づけられています。

STI for SDGsにおいては、”Science Supply”と、”Technology and Innovation Supply”の2つを活用し、各国がナショナル・イノベーション・システムを機能させてSDGsの需要に応えることが重要だとされています。そのなかでとくに民間セクターは、SDGsの需要に応えるための技術を生み出して製品を作り出す、またそれに必要なR&D、人材の育成・供給において重要な役割を果たすことが期待されていす。

国連におけるSDGs関連の重要な会議としては、9月の国連総会や7月のハイレベル政治フォーラムに次ぐ、そして唯一の個別テーマの会議として、この「STI Forum」が毎年5月か6月に開催されています。
 
5月14-15日に開催された今年のSTI Forumでは、日本が2日目の特別イベントの議長となり、科学技術振興機構(JST)の中村道治顧問をモデレーターに、世界銀行、バルバドス政府、ベルギーの民間研究機関とともに、豊田通商アフリカ事業開発部の鈴木氏と、総合科学技術・イノベーション会議の小谷委員(東北大学材料科学高等研究所長)が登壇し、SDGs達成に向けた「STIロードマップ」のあり方について議論がされました。
  
STIへのニーズが高く、とくに民間セクターが果たす役割が重要なSDGsとしてゴール3「健康と福祉」、2「飢餓の撲滅」、7「クリーンエネルギー」が挙げられています。日本は言うまでもなく、健康、食品、エネルギー分野における科学技術、そしてイノベーションの先進国です。STIという切り口での民間セクターを含む日本のSDGs達成への貢献が、今後ますます拡大することが期待されています。

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【SHIPプログラムご案内】
    6/20(木)& 7/25(木)開催!SDGsビジネスプログラム【導入編】
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SDGsが掲げる17のゴールを俯瞰的に理解し、様々な業界の参加者と議論しながら、SDGsとビジネスの接点を探る「SDGsビジネスプログラム【導入編】」。夕方からの2時間で、SDGsとビジネスの関係を理解し、ネットワークが拡がると毎回好評を得ています。まだご参加頂いていない方は、ぜひご検討下さい!

■ ⽇時 ■
 6月20日(木)19:00-21:30(18:45開場)
 7月25日(木)19:00-21:30(18:45開場)  
 ※各回、同じ内容です

■ 場所 ■
  31VENTURES Clip ニホンバシ
 中央区⽇本橋本町3-3-3 Clipニホンバシビル1階

■ 参加費 ■
 4,000円 +税

■ アジェンダ ■
 1.インプット (40分間)
 ・SDGs達成に向けたUNDPの民間連携策
 ・イノベーションとは?イノベーションを興すプロセス
 ・SDGsはなぜイノベーションの機会か?

 2.ワークショップ(80分間)
 ・SDGsの17ゴールと169ターゲットを俯瞰する
 ・SDGsから解くべき課題を抽出する
 ・課題を解決するビジネスソリューションを考える

 +ネットワーキング (30分間)軽食と飲み物を囲んで

 >お申込みはこちら http://ship.peatix.com

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 【From UNDP】
  全国5都市にて開催中! 
    TICAD7 アフリカビジネス SDGsセミナーのご案内  
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今年8月28~30日、横浜で「第7回アフリカ開発会議」(TICAD7)が開催されます。この会議では日・アフリカ間の貿易/投資促進が重要テーマのひとつとなっており、アフリカ各国から政府要人に加えて多数の民間企業が参加予定です
そしてこれに先駆けて、UNDP、JETRO、JICA主催による「TICAD7 アフリカビジネス SDGsセミナー」が、全国5つの都市にて開催されています。
「日本企業が21世紀を生き残る試金石」とも称されるアフリカ。広島の第1回セミナーでは、既にアフリカでビジネスを推進する企業の声を交えつつ、アフリカ市場の可能性と魅力を探るとともに、JETRO、JICA、UNDP の連携によるアフリカビジネス支援策をご紹介します。
各都市、及び周辺地域にお住いの方で、アフリカでのSDGsビジネスにご興味がある方、ぜひこの機会に参加をご検討下さい。

<TICAD7 アフリカビジネス SDGsセミナー(全5都市)概要>
第1回 広島市  : 6 月  3 日(月) ※イベント終了
第2回 名古屋市 : 6 月17 日(月) ※イベント終了
第3回 大分市  : 6 月18 日(火) ※イベント終了
第4回 岡山市  : 6 月22 日(土) ※イベント終了
第5回 仙台市  : 7 月25 日(木) ※イベント終了
 
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【From SHIP Knowledge Partner】
  ボンで開催された「SDG Global Festival of Action」で、
   未来技術推進協会の「SDGsボードゲーム」がお披露目
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5月2~4日にドイツのボンで開催された「SDG Global Festival of Action」。SDGs達成をめざす世界中の国際機関、政府、企業、NGOなどが集まり、それ 
れの活動を報告するとともに情報を交換する国連主催のイベントです。
今年はSDGsゲームコーナーが設けられ、SHIPのナレッジパートナーの「未来技術推進協会」が、同協会オリジナルの「SDGsボードゲーム」を初めて海外でお披露目しました。3日間で約100人がこのゲームを体験し、好評を博しました。
 
この「SDGsボードゲーム」は、すごろくの要領でコマを進めながら、世界各地を巡り、そこで出会うパートナーと協力しながらSDGsの達成をめざすもので、実例をもとにしたリアルな課題に取り組むことで、SDGs達成への具体的なステップの踏み方や、人との協業の大切さを学ぶことができる仕組みになっています。
 
日本からこのイベントに参加した同協会の6人の皆さんによると、各国から集まっ た人々と一緒にプレイし、具体的な課題について議論をすることで、まるで実際 にSDGs達成プロジェクトを進めているかのごとく、プレイヤー同士のディスカッションは白熱し、大いに盛り上がったとのことです。

 >SDGsボードゲームに関するお問い合わせはこちら 

2019.6.14 大阪開催!8/8(木)SDGsビジネスプログラム【導入編】参加者募集

大阪開催 8/8(木)SDGsビジネスプログラム【導入編】参加者募集!

2015年の採択から4年が経過した「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」。SDGsをイノベーションの機会と捉え、具体的な事業につなげる動きが世界で加速しています。

Japan Innovation Network (JIN)と国連開発計画 (UNDP)が2016年7月に共同で立ち上げた、ビジネスでSDGsの達成を目指すオープンイノベーション・プラットフォーム「SHIP (SDGs Holistic Innovation Platform)」では、SDGsを起点にビジネス機会を探索する各種プログラムを開催しています。

そのなかで「SDGsビジネスプログラム【導入編】」 は、SDGsの17ゴールと169ターゲットを俯瞰し、SDGs起点でイノベーションを興しながらビジネスをどう創出していくかを探るプログラムです。

SDGsとビジネスの関わりについて理解し、自社ビジネスとSDGsの接点を探りたい、そしてSDGsを起点にビジネス機会を探索したいという皆さまの参加をお待ちしています。

<SDGsビジネスプログラム【導⼊編】in 大阪 概要>
⽇ 時: 8月8日(木)18:30-20:30(+ネットワーキング30分間程度)
            ※受付18:15より 
会 場: Osaka Innovation Hub (大阪イノベーションハブ)※予定

会場所在地: 〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号
       グランフロント大阪 ナレッジキャピタルタワーC 7階
       (北3のエレベーターをご利用ください)

参加費: 4,000円 +税 

■ お申込み⽅法 ■
以下のサイトより参加費をお⽀払いの上(クレジットカード払い/コンビニ払い)、お申込みください。
http://ship.peatix.com
※現金でのお支払いを希望される場合は、「プログラム名、開催日、会社・組織名、ご所属・肩書、お名前、電話番号」を記載の上、SHIP事務局(ship@ji-network.org)に参加をお申込み下さい。

※SHIP法人会員やコミュニティメンバーでなくてもご参加頂けます。

■ アジェンダ ■
1.インプット (40分間)
・SDGs達成に向けたUNDPの民間連携策
・イノベーションとは?イノベーションを興すプロセス
・SDGsはなぜイノベーションの機会か?

 2.ワークショップ(80分間)
・SDGsの17ゴールと169ターゲットを俯瞰する
・SDGsから解くべき課題を抽出する
・課題を解決するビジネスソリューションを考える

+ネットワーキング (30分間)軽食と飲み物を囲んで。

キャンセルおよび振替えについて:
 ・キャンセルをご希望の場合は、開催日の前日午前中までに下記お問合せ先までメールでご連絡下さい。
 ・次回以降への振替え、 もしくは代理の方のご出席が可能ですので、 ご希望の場合はその旨メールにご記載下さい。
 ・Peatixでの支払いが完了したものの、振替えも代理出席も希望されない場合は、所定の手数料(※)を引いた額を返金致します。
  ※Peatix手数料(310円)+振込手数料(ご指定の金融機関により違います:最大216円)
 ※返金のための具体的な手続きについては、別途ご案内いたします。
 ※いずれの場合も、必ず下記お問合せ先まで「eメール」にてご連絡ください。
  事務局より折り返しご連絡を差し上げます。

その他:
・プログラム当日、事務局が会場の様子を写真で撮影させて頂きますが、ご了承下さい ますようお願いいたします。撮影した写真については、SHIPの活動を紹介する⽬的で、ホームページ等で使⽤させて頂きます。

お問合せ先:
 SHIP事務局(Japan Innovation Network内)
 担当:秋山
 Tel.03-5510-7188 /ship@ji-network.org

大阪イノベーションハブ様子3

大阪イノベーションハブ様子2

[ブラジル] 鉱山ダム決壊による深刻な環境破壊問題

2019年1月25日、ブラジル南東部ミナスジェライス(Minas Gerais)州ブルマジーニョ(Brumadinho)近郊で発生した鉱山ダム決壊事故は、未曾有の被害をもたらした。2月の報道では死者180人近く、行方不明者131人とされる。

また、この決壊により鉱物を含む泥流による広範な地域への環境汚染が心配されている。当局の調査によると、パラオペバ川の下流、120㎞にもわたり、鉛やクロムなどの有毒金属類を含む泥流が大量に流れ込み、川沿いの自然環境や住民生活に影響を及ぼしているという。当局は当該の地域住民に、川の水の飲用、酪農や農業への使用を控えるよう注意を呼び掛けている。

ダム決壊の原因は建設コスト削減などによる欠陥構造によるものとの見方もあり、従業員や周辺地域の住民に対する安全確保意識の欠如、重金属を含んだ土砂が大量に流出することによる環境への影響の重大さなど、同ダムの保有者である鉄鉱石世界最大手ヴァーレ社の企業モラルに対する批判が高まっている。

同社の鉱山ダムでは3年前にも同様の事故が起こっており、また今年5月にはバロージコカイス(Barao dos Cocais)にある同社の別のダムについても「いつでも崩壊の危険がある」との発表がなされ、同地域住民の不安が高まっている。

鉄鉱石が国の重要産業の一つであるブラジルにおいて、その産業が周辺地域の人々や環境と共存共栄するためにも、こうした災害を二度と繰り返させないための具体的な解決策が求められている。