[インド] 世界遺産タージ・マハルにも及ぶ都市の環境汚染

近年、インドにおける大気汚染が深刻化している。世界保健機関 (WHO)の報告書によれば、世界で最も大気汚染が深刻な14の都市はいずれもインドにある。工場のばい煙、街中の道路で渋滞する自動車の排ガス、また未舗装道路で土埃が大量に舞うことが原因で、インドの街はしばしばスモッグに覆われる。インドの大気汚染による人への健康被害も多数報告されており、現地では病院が呼吸器疾患や肺がんの患者であふれかえっている。
タージ・マハルのあるインド北部のアグラは世界第8位の大気汚染都市である。タージ・マハルは大気汚染だけでなく、隣接する川の汚染や、無秩序な建設ラッシュによる帯水層の沈下など様々な問題に直面している。イスラム建築代表の、タージ・マハルの美しい白い大理石が近年黄色や緑色に変色してしまっている。これは、大気中に含まれる有害な粒子や、隣接するヤムナ川に下水や産業廃棄物、家庭ごみなどが垂れ流され、そこに繁殖した昆虫の糞による影響である。
インドは、人々の健康だけでなく、自らの国を代表する世界遺産タージ・マハルの美しさを脅かすほどの環境問題を抱えている。

[途上国] 薬剤耐性菌「スーパーバグ」に脆弱な途上国

「薬剤耐性」とは、抗菌薬の使用に伴って病原体が変化し、特定の種類の抗菌薬・抗生物質が効きにくくなる、または効かなくなることを指す。この薬剤耐性を持つ菌のことを”Superbug”(スーパーバグ)と呼ぶこともある。 現在、世界では年間70万人がこの薬剤耐性によって死亡しており、対策を一切講じなければ2050年までに1000万人の死者が出ると試算されている。

これを受け、世界保健機関(WHO)は薬剤耐性問題を「国際保健における非常に大きな脅威の一つだ」と位置付けており、2015年の総会では薬剤耐性の問題に対する、グローバル・アクション・プランが策定された。 日本政府はグローバルヘルス技術振興基金(GHIT)と「アクセスと提供に関するパートナーシップ(ADP)」という補完し合う二つのプロジェクトの支援を通じて薬剤耐性の問題に貢献することで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ分野でのリーダーシップをとっている。

[全世界] 中国の資源ごみ輸入禁止に伴う廃棄物引受先不足

これまで世界の半分以上の廃プラスチックの処理を引き受けていた中国が、2017年末にその輸入規制を開始した。それにより先進国を中心とする廃棄物輸出大国が新たなリサイクル先の発掘や処理方法に苦心している。

最盛期の2015年には全世界で廃棄されたプラスチックの総量の3億トンのうち、88万トンが中国に輸出され、リサイクルされていた。その主な輸出国は、EU、アメリカ合衆国、次いで日本だった。輸入した廃プラを中国は資源として再生し、活用してきたが、2017年には廃棄物処理政策を一変させた。 中国国内に出た影響としては、それまで廃プラスチックを引き受けていたリサイクル業者が輸入先を失ったことだ。中国国内のリサイクル業者の約1/3は国外へ工場を移すことで規制を受けないようにするなどしている。

一方国外では大量の廃棄物処理を中国に頼っていた、日本を含む欧米の先進国が廃棄物の新たな引き受け先探しに苦心している。応急処置として東南アジアへの輸出が行われた一方で、中国同様に廃棄物輸入にかかる環境の悪化を懸念して、規制を開始する国々もではじめている。

[ヨルダン] アカバ湾プラスチックゴミ増による海の環境破壊問題

ヨルダンは国のほとんどを隣国に囲まれているため、アカバ湾はヨルダン唯一の海への出入口である。アカバ湾の海洋生態系は多様性に富み、実にユニークで貴重なエコシステムを形成しているが、近年の観光客増加とプラスチック製品等のゴミにより海岸が汚染されてきており、アカバ湾およびアカバ湾を含む紅海、また世界中の海への海洋汚染が心配される。そこで海洋ゴミを減らすため、特に海岸で発生するゴミを減らす工夫が必要とされている。

[ナイジェリア] 出産時の輸血不足による難産、死産率の高さ

ナイジェリアは輸血用血液製剤の不足が深刻な問題となっている。現在1億8000万の人口を抱え、年間150万パイント(約71万リットル) もの輸血血剤が必要とされているが、およそ1/3の準備量に留まる。またこの1/3のうち60%以上は患者家族からの提供で、残り40%は商用の血液製剤を購入したものとなっている。献血ボランティアで収集された血液製剤はほぼ皆無。ナイジェリアは死産率の高さは世界第二位となっており、その死の多くは、その場においての輸血対応ができないことによるものである。

[インド] 急激な人口増によるごみ問題と衛生問題

人口増加が急激に進むインド アッサム地方。このインドの極東北エリアにおいて、現在、生活人口の増加によるゴミ問題が深刻になっている。特にプラスチックごみの増加については、毎年38.86トンもの廃棄プラスチックが発生しており、紅茶の産地としても名高い当地域の自然環境にたいして、直接的または間接的に悪影響をおよぼしている。当該地域にある技術的または資金的なハードルをクリアしつつ廃棄プラスティックをリサイクルできる仕組みが必要とされている。

[イタリア] 米農作における害虫予防農薬の過剰使用による汚染

米はイタリアにおいて基本食物であるものの、その耕作時には環境破壊につながる問題を抱えている。深刻な不作を引き起こしかねない問題、すなわち害虫の発生を防ぐための大量の農薬使用である。 殺虫剤利用により引き起こされる環境破壊の問題は、農薬に対する抗体が生じてさらに農薬が効かなくなるという悪循環を引き起こし、環境破壊はもちろん、人体への直接的な健康被害を引き起こし、長期的に見ると農業の生態系全体の持続性をも破壊する危険をはらんでいる。 したがって、人体や環境に対する有害性、危険性を極力低減化しつつ、害虫被害を抑えて経済的痛手を被らないようにするための、米作物保護のための新たな戦略が必要とされている。