[全世界]食糧の安定供給と地球温暖化対策の両立

世界の食肉生産は、1960年と比べ5倍にまで増加しています。原因は、世界的な人口増加や途上国の急速な経済成長に伴う、消費者の所得増加による食肉消費の増加です。食肉需要を補うことは食の安定供給のためにも急務となっていますが、食肉の生産は地球環境に大きく影響しています。国連のレポートでは、世界の温室効果ガスの排出元の14.5%が家畜であるとされており、食肉用の畜産が環境に大きな負荷となっていることがわかっています。 人口増加に伴う食肉需要への対応、そして地球温暖化への対策。エネルギー資源等がクリーンエネルギーを開発し、エネルギー需要と環境への配慮を同時に解決してきた例はあります。しかし、食肉の観点からこれら二つを両立することは現状非常に難しい課題となっています。現時点で行われている対策としては、肉の代わりに大豆を使用したソイ・ミートなどがありますが、本物の肉を食べたい消費者の間では普及率は高くありません。

そんな中、近年新しいアプローチで地球環境の改善を目指す動きが数多く登場しています。その一つが細胞培養肉の開発です。現在の細胞培養肉の製造・開発は牛肉・豚肉・鶏肉・魚にまで及んでおり、主にハンバーガーのパテやナゲット、ミートボールなどの加工肉としての使用が目されています。スタートアップ企業が生み出す技術に世界の注目が集まり、数々の大企業が投資を始めています。たとえば世界最大の食品多国籍企業である     Tyson Foods は、細胞培養肉の開発を進めるスタートアップ、Mosa Meat社に対し8億円の開発投資を行いました。また日本でも、Integri Culture社がシンガポールのShiok Meats とともにエビ細胞培養肉の共同研究を開発すると、今年7月20日に発表しました。

Journal Environmental & Science technologyの調査によると、現在の食肉生産が完全に細胞培養肉に替わった場合、温室効果ガスの排出をはじめ、エネルギー使用・土地利用・水の使用などの環境への影響を平均して80~90%も削減できることが示唆されています。地球温暖化・気候変動問題の解決は非常に重要な項目として、現在のSDGs だけではなく長年議論が交わされている項目の一つです。1992年に採択されたAgenda 21-Climate Changeをはじめとし、日本で採択された京都議定書など長年対策が講じられてきている地球温暖化ですが、気候変動による地球の変調は年々大きくなっています。

一部の統計では世界の細胞培養肉市場は、年間15%の成長率を有し、2025年には214億円の市場になると予測されています。シャーレの上で作られた肉が食卓に並ぶ日も近いかもしれません。

 

 

 

2020.10.13 【〆切 11/18(水)に延長】Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs 応募要領および国別説明会のご案内

                                 赤字:2020年11月2日追記
                                 青字:2020年11月12日追記
                                 緑字:2020年11月30日追記

                                                       
※応募締切を11月18日(水)18:00(日本時刻)に延長しました
※選定結果発表を12月上旬予定に変更しました

 

国連開発計画(UNDP)は様々な社会・環境課題の解決策を模索するため、2019年より、世界60ヵ所にUNDP Accelerator Labs(A-Labs)を展開してきました。この度、5カ国のA-Labsが特定したSDGs関連の課題に対して、UNDPとJINが共同運営するSDGs Holistic Innovation Platform(SHIP)のノウハウを活用して、日本企業がこれらの課題の解決を追求する「Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs」を実施することになりました。本事業は内閣府からUNDPへの資金拠出を原資として、11月から実施します。

この事業は、5ヵ国のA-Labsが特定した課題について、日本企業の技術・ノウハウ・ネットワークを活用した課題解決をA-Labsと日本企業が共同で検討します。現地の課題と日本企業の強みを単純にマッチングするのではなく、ビジネスを通した課題解決のための初期プロセスである「持続可能なビジネスモデルの構築とその検証」を国連機関と日本企業が共同で行う画期的な試みです。

地球規模の課題解決にイノベーション活動やビジネス活動を通じて取り組みたい企業、自社の強みを社会課題の解決に活かしたい企業、国際機関と協業してSDGs達成に貢献されたい企業を募集しますので、ぜひご応募下さい。

【事業概要】
説明資料(PDF)動画をご参照下さい

【募集対象】
・自社の強みを活かしてSDGsの達成をめざす日本の民間企業
※本事業は具体的な技術などをご提供頂ける企業と連携することを目的としており、コンサルティング会社や非営利団体はご応募対象外となります。
※日本企業の海外現地法人のご応募も可能です。
※本事業は参加企業とUNDP各国事務所が共同で推進するもので、使用言語は英語となります。
※複数国への応募も可能です(各国毎に応募書類をご提出下さい)。
※外部パートナーの技術・ノウハウ活用を前提にご応募頂くことも可能です。ただし、ご応募頂く主体自身が、主たる技術・ノウハウをお持ちであることが前提となります(外部パートナーは応募主体のノウハウ・技術を補う役割)。外部パートナーを活用される場合は、その社名と役割も応募用紙にご記載下さい。
※各国資料の中で日本企業に期待する技術・ノウハウが複数記載されている場合がありますが、全ての技術・ノウハウを提供して頂く必要はありません。ひとつ以上の技術・ノウハウをお持ちであれば、ご応募頂けます。

【対象5ヵ国のプロジェクト内容とA-Labsが特定したSDGs関連の課題】
インド:ブロックチェ―ンを活用したスパイスの生産・流通管理
                課題(PDF)
フィリピン:マニラ湾周辺の海洋プラスチックごみ削減
                課題(PDF)
ベトナム:ダナン市の廃棄物処理システムのデザインと導入
    課題(PDF)
トルコ:マルマラ地域の市民参加型の公共スペースの設計
    課題(PDF)
マラウイ:都市部の廃棄物収集・処理・リサイクルの導入
    課題(PDF)

※国別説明会での各国のプレゼン資料をご希望の場合は、SHIP事務局(ship@ji-network.org)にご連絡下さい。

【スケジュール】
1. 概要説明ウェビナー[終了]:9月15日(火)・16日 (水)
2. 参加企業募集開始:10月13日(火)
3. 国別説明会[終了]:10月下旬(詳細下記)
4. 応募締切:11月11日(水)18:00(日本時刻)11月18日(水)18:00(日本時刻)に延長
5. 選定結果発表:11月下旬予定⇒12月上旬予定 
6. プロジェクト実施:契約締結次第、順次~2021年3月末

※選定された企業については、社名をSHIPホームページ、および各国UNDPのウェブサイトなどで公表させて頂きます。

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【応募用紙および参考資料】
Application Form(応募用紙)
Annex to Application Form(応募用紙別添)
上記については、英語でご記入の上、応募する国ごとに1通、添付資料とともにご提出下さい。
[参考資料] 選定後にUNDPと締結する契約書雛型

[応募書類一式の提出先]
件名を「Japan SDG Innovation Challenge_国名を英語で記入_英語社名を記入」として、PDFファイル添付で、To: lorena.sander@undp.org、Cc: ship@ji-network.org宛にお送り下さい。 ⇒締切:11月11日(水)18:00(日本時刻)

[選考基準]
1. Company has a proven track record and the financial and technical resources to undertake the activities proposed [10 points]
2. Proposal is clear, concise, and shows a clear motivation to work with the public sector, specifically with UNDP [10 points]
3. The proposal demonstrates a commitment to iterate with the Accelerator Lab and co-create concepts and/or prototypes [20 points]
4. The proposal thoroughly considers the complexity of the challenge and the national delivery context [15 points]
5. The proposal is fit for purpose in the context of the Accelerator Lab [15 points]
6. The proposal is likely to lead to a useful concept or prototype which could be scaledb [20 points]
7. The credentials of the proposed team are suitable for the tasks, as proposed [10 points]

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            【国別説明会 [終了]
事業開始に伴い、対象5ヵ国で解決をめざすSDGs課題の詳細と日本企業への期待に関して、現地A-Labの担当当者が直接ご説明する会をオンライン(Zoom)で開催しますので、ぜひご参加下さい。
※各国のプレゼン資料をご希望の場合は、SHIP事務局(ship@ji-network.org)にご連絡下さい。

[プログラム]
 1. 本事業の概要説明
 2. 解決をめざす課題の詳細と日本企業への期待(UNDP現地事務所からの説明)
 3. 質疑応答
[参加費] 無料 [言語] 英語
[開催日時]
 インド  :10/29(木)15:00-16:00
 フィリピン:10/23(金)16:00-17:00
 ベトナム :10/26(月)17:00-18:00
 トルコ  :10/29(木)16:00-17:00
 マラウイ :10/26(月)18:00-19:00

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【本事業に関するお問合せ先】SHIP事務局 ship@ji-network.org

国連開発計画(UNDP)について:貧困の根絶や不平等の是正、SDGsの達成に向けた取り組みを支援する国連の主要な開発支援機関であり、約170の国や地域で活動しています。SDGs達成に向けた現地の社会課題等の調査・分析及び課題の解決を模索するため、シュタイナー総裁の強いイニシアティブのもと、2019年7月、世界各地に60ヵ所のAcceleration Labsを設置しました。統合的解決の柱となるSDGファイナンス・イノベーション・ローカリゼーション推進の一環として、各ラボはイノベーションの一翼を担う位置づけとなっています。

一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)について:大企業・中堅企業のイノベーションを支援する加速支援者(アクセラレーター)です。経済産業省「フロンティア人材研究会」を母体とし、2013年7月に設立されました。イノベーション経営の普及(イノベーション100委員会他)、イノベーション・マネジメントシステム・アクセラレーションプログラム(IMSAP)の企画・運営、イノベーション加速支援(個別企業支援)、イノベーション・プラットフォームの構築・運営(SHIP他)の4つの活動を推進しています。

SDGs Holistic Innovation Platform(SHIP)について:SDGsの達成をイノベーションの機会として捉え、企業の技術・ノウハウで世界中の課題の解決することを目的として2016年に一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)とUNDPが合同で設立し、運営しているオープン・イノベーション・プラットフォームです。

2020.10.2 SHIPニュースレター [Vol.21] 新しいリサイクルの形 “アップサイクル” から生まれるビジネス

SHIPニュースレターVol.21をお届けします。【SDGs xビジネス最新情報】では、“アップサイクル”という新しいリサイクルの概念を取り入れたビジネスを取り上げています。SHIPやUNDPの民間企業や若者との連携プロジェクトもご案内していますので、ぜひご覧ください。

 

■ CONTENTS ■===================================

【SDGs xビジネス最新情報】

新しいリサイクルの形 “アップサイクル” から生まれるビジネス

【From SHIP】

Japan SDGs Innovation Challengeのお知らせ

【From UNDP】

Youth Co:Labソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2020/気候変動に関するオンラインゲーム&世論調査「ミッション1.5」日本語版公開

【From JIN】

10月14日開催「JINイノベーション・マネジメントシステムサミット」参加者受付中

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【SDGs ×ビジネス最新情報】

新しいリサイクルの形 “アップサイクル” から生まれるビジネス

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今年7月1日にレジ袋の有料化が全国一斉に開始されました。これまで、エコバッグの利用が環境に優しい行動だと分かっていても、レジ袋有料化をきっかっけに、はじめてエコバッグを持ち歩くようになったという方も多いのではないでしょうか。身近に使用しているプラスチック製品が有料化されたことで、私たちはそのプラスチックが本当に必要だったかを考え、自分の行動を見直すようになりました。

 

このように環境への負荷に対する意識が日本で高まっているなか、リサイクルの新しい概念として注目されているのが、“アップサイクル” です。アップサイクルとは、もとの製品の素材の形や特性を活かしつつ、新しい価値を加えて別のものに作り変えることです。“リサイクル” は不要になった製品を一度資源に変え原料として再利用すること、”リユース” は不要になったものをそのままの形で使用することでですが、アップサイクルは、そのままでは使う人がいない製品に新たな魅力を与える=“価値をアップさせる” ことで、再び使える製品に生まれ変わらせるのです。持続可能なライフスタイルに敏感な消費者を対象とした商品開発やや企業の環境への姿勢を示すために、近年、食品やアパレルなど幅広い業界で注目されている概念です。

 

例えば、snaq.me(スナックミー)という、宅配型のお菓子販売を行っている日本企業では、オーツ、カシューナッツ、ドライパインなど、少しの欠けや変色のため廃棄処分される原料を組み合わせた「Up Granola」というグラノラバーをアップサイクル食品として販売し、ファンを広げています。

アップサイクル食品の定義は、「本来は人間の食用にされなかった原材料を用い、検証可能なサプライチェーンで調達・生産され、環境に良い影響をもたらす食品」であること。国連食糧農業機関(FAO)によると、食品の廃棄やロスによる世界経済の損失額は年間7,500億ドル(約80兆円)を超えるとされています。フューチャー・マーケットインサイトの昨年の調査では、アップサイクル食品産業の規模は460億ドル(約5兆円)と推定され、年間5%のペースで成長するポテンシャルがあると予測しています。

 

アパレル業界では、パタゴニア社が修理不可能な衣料品の一部を組みあわせて作ったTシャツやダウンジャケットなどを「ReCrafted Collection」として販売し、人気を博しています。また、インドネシア・バリ島発のフットウェアブランドIndosoleは、廃棄されるタイヤを再利用したサンダルを開発。タイヤを使っているとはわからない洗練されたデザインと豊富なカラーバリエーションを揃えたエコロジカルな製品で、手頃な価格とともに、消費者に高く評価されています。

日本アップサイクル協会は、アップサイクルを「”ゴミを宝物に換える”サスティナブルな考え方」と定義しています。“環境によい商品“を超えた、”環境によい宝物“の開発が、今、企業に求められており、ビジネスチャンスも広がっています。

 

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【From SHIP】

Japan SDGs Innovation Challengeのお知らせ

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SHIPでは今年10月から、UNDPが世界60ヵ所に設置しているイノベーション拠点「UNDP Accelerator Labs」が特定した開発途上国のSDGsに関連する課題を、日本企業の技術やノウハウで解決する「Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs」を実施します。対象国は、インド、フィリピン、ベトナム、トルコ、マラウイの5カ国です。プロジェクトの概要を動画でご紹介していますので、ぜひご覧ください。今後、国別説明会の日程やお申し込み方法をご案内する予定です。

Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs(動画)

説明資料ダウンロード

 

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【From UNDP】

UNDP×シティ・ファウンデーション主催・若者のソーシャルイノベーション支援プログラム 

「Youth Co:Labソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2020」

日本の若者から、ソーシャルビジネスモデルやアイデアを募集!

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UNDPとシティ・ファウンデーションは、若者によるソーシャルイノベーションと社会起業を支援するプログラム「Youth Co:Lab(ユース・コーラボ)」を2020年も日本で開催します!「ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2020」では、日本の18~35歳の若者からSDGs達成に焦点を当てたビジネスモデルやアイデアを募集しています。

日本大会の受賞者は、UNDPとシティグループのグローバルネットワークを活用し、ビジネスモデルをブラッシュアップするプログラムへの参加やマッチングの支援を受けることができます。

また、コロナ禍や、それにより浮き彫りになった社会の課題に対するビジネスアイデアおよび取り組みを提案したチームに贈呈される「CVC特別賞」の受賞チームには、1チーム最大400万円の活動資金が授与されます。日本の若者からの積極的なご応募、お待ちしています。

ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2020 (10月12日(月)正午〆切)

 

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【From UNDP】

気候変動に関するオンラインゲーム&世論調査「ミッション1.5」の日本語版公開

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気候変動対策に向けた無料のオンラインゲーム「ミッション1.5」の日本語版を公開しました。このゲームでは、地球温暖化による気温上昇を1.5度未満に抑えるためにはどうすればいいのかを学びながら、各国政府に実際に採用してほしい気候変動対策について投票し、プレイヤーの声を政府に伝えることができます。ミッション1.5の投票データは、オックスフォード大学で分析された上、各国政府に届けられます。これまでに140万人近くがプレイしました。ぜひ一度プレイしてみてください。

オンラインゲーム「ミッション1.5」の日本語版

 

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【From JIN】

10月14日開催「JINイノベーション・マネジメントシステムサミット」参加者受付中

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全世界を同時に襲っているコロナ危機。この地球規模の変化に日本はどう対処すべきか?JINは、日本・米国・欧州から10名のイノベーション経営をリードしてきた企業経営者やイノベーション・マネジメントシステム有識者を招き、「今、日本はどうかわるべきか」をテーマにオンラインサミットを開催します。

SDGsでは、目標9で「レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」と設定しています。SDGsの達成にも繋がるイノベーションの在り方について議論が繰り広げられるサミットに、ぜひご参加ください。

 

日時:2020年10月14日 (水) 17:00 – 22:00

開催方法:Zoomウェビナー 参加費:無料

参加方法:事前申込み制(10月12日(月)24:00〆切)

こちらのページからお申込みください。

 

【主な登壇者】

チャド・ホリデイ:ロイヤル・ダッチ・シェルPLC会長

デボラ・ウィンス-スミス:米国競争力評議会(COC)会長兼CEO

西口泰夫:JIN監事、元京セラ株式会社会長兼CEO