[日本] 膨大な食品廃棄問題

日本では、食品廃棄物等が年間で2775万トンも生じており、その内本来食べられるにも関わらず廃棄されている食品ロスは621万トンもある。また、1101万トンの食品廃棄物は再生利用等されることもなく焼却・埋立等処分されている。

この日本の膨大な食品廃棄物問題の深刻さは、日本人1人当たりに換算すると毎日1人お茶碗約1杯分の食べ物を捨てている計算になること、一方で飢餓が原因で1日に4~5万人(1年間に1500万人以上)の人が死亡していること、年間の食品ロスが国連の年間食料援助総量(320万トン)のおよそ2倍になること、日本の食料自給率は38%しかないため大半を輸入に頼りつつも多くを捨てていることなどからわかるだろう。

食品廃棄物の発生経路としては、小売店などが設定した納品期限を過ぎていることを理由とした商慣習による返品や欠品をしないために保有して期限切れとなった在庫、印刷ミス、汚損・破損といった規格外品、新商品の発売に伴い店頭から撤去される旧商品、レストラン等の外食店では、客が食べ残した料理や製造・調理段階での仕込みすぎなど、家庭では皮の厚むきなどの過剰除去や、食べ残し、冷蔵庫等に入れたまま期限切れとなった食品などがある。

食品廃棄物の問題は、国内外の人々の食品へのアクセスに影響を与え、廃棄物処理に多額の税金を費やし、食料生産に投入された資源を無駄にするなどの影響を与えている。

[ミャンマー] 慢性的な渋滞による潜在的な経済損失

近年、ヤンゴン市内では朝夕の通勤時間帯だけではなく日中でもいたる所で慢性的な渋滞が起きている。その原因としては、ここ数年で自動車の数が急速に増加したこと、あらゆる通行者の交通マナーが無規律なこと、道路や信号などの交通インフラが脆弱なこと、電車がほぼ発達していない・利便性が低いことなどが挙げられる。自動車数の急速な増加については、2015年のミャンマーの自動車(乗用車とトラック)登録台数は約71万台で、2011年から2倍に増加したとされている。

このような渋滞は、ヤンゴン市民の経済的・社会的生活に大きな影響を与えている。特に深刻なのは、渋滞によってもたらされる潜在的な経済損失であろう。例えば、ヤンゴン市内で働く人々は、毎日の通勤と帰宅に本来必要になる時間よりも数倍の時間をかけなければならない。また、仕事で市内を移動するとしても、会議や営業などの本来の仕事をする以前に、その場所にたどり着くために多くの時間をかけなければならず、それは本来の仕事に費やすことができる時間を圧迫している。したがって、ヤンゴンの慢性的な渋滞は、人々の時間と体力を無駄に浪費し、ストレスをもたらし、潜在的な経済損失にもつながっているのである。

[ミャンマー] 電力不足と停電が引き起こす経営上の課題

2011年の民政移管以降、日本企業のミャンマーへの進出が活発化しているが、現地での経営上の大きな課題の一つが「電力不足・停電」である。

日系企業のミャンマーへの進出が増えている要因としては、ミャンマーが中国や東南アジア地域、南西アジア地域などの巨大市場の中間地点にあることから地政学的に重要な位置を占めていることや、5148万人もの人口が将来的な国民所得の向上により有望な消費市場になることが期待されていることなどがある。しかし、JETRO調べによると(2016年) 、在ミャンマー日系企業の内85%もの企業が「電力不足・停電」を経営上の課題として挙げている。実際、近年改善してきてはいるものの、ミャンマー全体の電化率は34%(2015年)に留まっている。一方で、電化率の地域差も大きく、ヤンゴン市内の電化率が78%で最も高く、それにカヤー46%、マンダレー40%、ネピドー39%と続く。地方の電化率は20%にも満たず、カレンやタニンタリーは10%以下しかない。このような状況の中、ミャンマー政府は2030年までに国内の100%電化率を目指す計画を掲げている。

「電力不足・停電」の問題は、人々の経済的・社会的生活に多様な影響を及ぼす。例えば、オフィスアワーに起きる停電はしばしばパソコンを使った業務のほとんどを停止させてしまい、仕事が進まなくなってしまう。確かに、法人/個人が発電機を導入することもできるが、自家発電には初期導入費用、メンテンナンス費用、燃料費などがかかる。そのため、自家発電機を購入、維持できる法人/個人は限られ、多くの人は停電時にただ電気へのアクセスを失ってしまう。また、発電機には盗難の危険性も付きまとう。