[インドネシア] 多様な伝統的食文化の喪失と小規模農家の貧困

インドネシアは本来多様性に富んだ伝統的食文化を有しているが、近代的なライフスタイルが普及し、大量生産された格安の食材が市場に流入するにつれて、インドネシア固有の伝統食材(米・コーヒー・スパイス・ハーブ・トロピカルフルーツ等)が価格競争に負け、姿を消しつつある。たとえば、1960年代のインドネシアでは、7,000種類の米の品種が存在したが、いまではその多くが人々から忘れ去られ、多くの消費者は数種類の米の中から購入することが当たり前になってしまっている。

また伝統食材の多くは、昔ながらの伝統的な自然農法で、小規模農家によって生産されたもので、オーガニック製品としてとてもポテンシャルがあるにも関わらず、小規模農家は市場からは遮断された状況にあり(インドネシアは1,000もの島々で構成される島嶼国家であり多くの小規模農家が物理的にも隔離された状態にある) )知識に乏しく、貧困にあえいでいる。

[インド] 非生産的な農業に起因する貧困

インドでは人口の半分以上が、中小規模の農業に従事している。しかしながら、農業従事者は、収入を向上させるために、生産したものに付加価値を与える知識をほとんど持っていない状況である。

インドにおける織物繊維の最大の生産地であるグジャラート州では、悪天候と非生産的な農業手法により、主要な作物である綿花の生産が伸び悩んでおり、潜在的な経済成長率が充分見込めるにも関わらず、その機会を活かせていない。

[パキスタン] 住宅価格の高騰

パキスタンでは住宅が高騰し、パキスタン人の大半(多くが低中所得者層)がリーズナブルな住宅を購入できにくい事態に陥っている。パキスタンの人口は急速に増加していることと、多くの人々が金融サービスが利用できない状況も問題の背景にあり、国全体で約1000万のリーズナブルな住宅が足りないといわれている。

また、農村部から都市への移住も増えており、そうした人々が居住地区として開発されていない場所に劣悪な環境で暮らすことを余儀なくされている。住宅の保有は、パキスタン社会において重要な意味をもち、住宅と土地を保有しているか否かは、婚姻の際にパートナーが考慮する大きな要素の一つとなっている。

[ケニア] 都市スラムにおける医療・衛生問題

ナイロビのスラム地域では、大半の住民が、不衛生な生活環境に置かれており、汚染水、下水処理、栄養不良が深刻。そうした環境の中、多くの人々本来予防可能であり疾病や下痢に苦しんでいる。スラム地域は医療環境が充分ではなく、低水準の治療行為を行う認可されていない非公式なクリニックや薬局がおおく見受けられる。そのような施設では、適切な医療教育を受けているスタッフがいないことや、必要な医療機器が足りないことが問題になっている。またコミュニティレベルでの医療・衛生面での教育が不十分である。

[エルサルバトル] 農業従事者の貧困問題

エルサルバトルでは90%以上が農業従事者であるが、不十分な農業技術や品質に関する知識、市場やファイナンスについての知識不足により、生産効率の悪さや不均一な品質が問題になっている。また、金融サービスへのアクセスが乏しいことから、生産改善のための投資ができない状態にあり、貧困状態からぬけ出せないでいる。